海外サッカーリーグの寡占度をハーフィンダール指数で考える

某配信者がFIFA22をプレイしていたのがきっかけで海外のサッカーリーグに興味を持った。
そのとき驚いたのが、どのリーグもだいたい同じクラブが優勝していること。
せっかくなので、今回はハーフィンダール指数を使って各リーグの寡占度を計算した。

ハーフィンダール指数(以下HHI)はその市場の「寡占度」を示しており、各企業のシェアの2乗を合計して計算する。
値が大きいほどその市場が独占状態に近く、小さいほど完全競争に近い。

例えば、
シェアが70%の企業A1、20%の企業A2、10%の企業A3で構成される市場XのHHI
702+202+102=4900+400+100=5400

シェアが10%の企業が10個で構成される市場YのHHI
(102)×10=100×10=1000
となる。
このとき、市場Yより市場Xのほうが独占状態に近く、そしてHHIも高い。

今回はこのハーフィンダール指数の考え方をサッカーリーグに適用する。
レギュレーションは以下の通り。

  • 01/02から20/21までの計20シーズンのうち、各クラブがどれだけ優勝しているかのシェアを計算する
  • シェアを基に各リーグのHHIを計算する
  • 途中でクラブ名が変わっても優勝回数は通算する

なお、言うまでもないが、別にリーグが寡占状態にあるから悪いというわけでも、HHIが低いから良いというわけでもない。

欧州5大リーグの結果

というわけで、欧州5大リーグのHHIを計算した結果がこちら。

リーグ名 国名 HHI 優勝したクラブ数 上位3クラブの優勝回数
プレミアリーグ イングランド 2300 6 6-5-5
ブンデスリーガ ドイツ 5200 5 14-3-1
ラ・リーガ スペイン 3600 4 10-6-2
セリエA イタリア 4600 3 12-6-2
リーグ・アン フランス 2650 7 7-7-2

※表は列名をクリックすることでソート可能

プレミアリーグリーグ・アンHHIが低く、比較的色んなクラブが優勝している。
一方、ブンデスリーガは同じクラブが過去20年で14回優勝、セリエAは20年で3クラブしか優勝していないなどかなりの寡占状態にあり、HHIも突出して高い。

それ以外のリーグと比較する

せっかくなので、欧州5大リーグ以外も比較対象に入れる。
今回はポルトガルのプリメイラ・リーガ、トルコのスュペル・リグ、そして日本のJリーグを追加した。
ついでに、元々野球が好きだったのでセ・リーグパ・リーグも入れる。

リーグ名 国名 HHI 優勝したクラブ数 上位3クラブの優勝回数
プレミアリーグ イングランド 2300 6 6-5-5
ブンデスリーガ ドイツ 5200 5 14-3-1
ラ・リーガ スペイン 3600 4 10-6-2
セリエA イタリア 4600 3 12-6-2
リーグ・アン フランス 2650 7 7-7-2
Jリーグ 日本 1400 10 5-3-3
プリメイラ・リーガ ポルトガル 4350 3 11-7-2
スュペル・リグ トルコ 2900 5 8-5-5
セ・リーグ 日本 2850 5 9-4-3
パ・リーグ 日本 2550 6 7-5-5

パ・リーグの優勝チーム数は6つになっているが、これは近鉄を含んだ数字

JリーグHHIが1400と表中最小で、20年間で10クラブが優勝しており、世界的に見ても寡占度が低いリーグであることが伺える。
セ・リーグパ・リーグも6チームしかない割にはHHIが低い。
一方、ポルトガルのプリメイラ・リーガセリエAと同水準の寡占状態となっている。

おまけ

グラフ

今回集計対象としたリーグは、3つのグループに分類できる。

ついでに、日本プロ野球セ・リーグパ・リーグは、海外サッカーのプレミアリーグリーグ・アンと傾向が似ているというトリビアが得られた。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。